見積書の記入例を探しているときに一番危ないのは、見本をそのまま写して案件ごとの差分を見落とすことです。見積書は全国共通の固定様式がある書類ではないので、見本を見るときは「そのまま使える骨組み」と「毎回差し替える欄」を分けて見る方が実務に合います。
この記事では、見積書の記入例を項目別に見ながら、どこを差し替えるべきかを整理します。入力漏れを先に止めたい場合は 見積書の項目一覧12個、法的な必須と提出先ルールを分けて見たい場合は 見積書に法的な必須項目はある?、書く順番から確認したい場合は 見積書の書き方・作り方 を先に見ても大丈夫です。
- 記入例を見る前に、宛名、件名、明細、税率、備考欄の5か所は毎回差し替える前提で見ます。
- 公的な見本は「欄の並び」と「提出先が見る項目」の確認に使い、文言そのものは自社案件に合わせて調整します。
- テンプレを流用する場合でも、PDF送付前に税率、合計、有効期限、対象外作業だけは必ず見直します。
見積書の記入例をそのまま使う前に差し替える5項目
| 項目 | そのまま使わない理由 | 先に決めること |
|---|---|---|
| 宛名 | 会社名、部署名、担当者名、敬称の表記ゆれで差し戻しになりやすいため。 | 正式社名、部署名、担当者名、「御中」と「様」の使い分け。 |
| 件名 | 見本のままだと、何の見積かが第三者に伝わらないため。 | 案件名、工事名、業務範囲を1行で言える表現。 |
| 明細 | 「一式」のままでは、後で追加費用や請求額の説明がしづらいため。 | 品名、数量、単位、単価、どこまで含むか。 |
| 税率・合計 | 税込・税抜や端数処理が案件ごとに違うため。 | 10%/8%の有無、税込表示か税抜表示か、端数処理。 |
| 支払条件・備考欄 | 支払期日、対象外作業、追加費用条件は案件ごとに変わるため。 | 有効期限、納期、支払方法、振込手数料負担、対象外範囲。 |
そのまま使える見積書の記入例
まずは全体像をつかむためのシンプルな見本を置きます。見本の目的は、欄の順番をそろえることです。金額や文言はそのまま流用せず、自分の案件に合わせて置き換えてください。
御見積書 発行日: 2026年7月21日 見積番号: ES-20260721-001 宛名: 株式会社〇〇 御中 件名: Webサイト改修作業 お見積り 有効期限: 2026年8月20日 1. トップページ改修 1式 80,000円 2. 下層ページ調整 4ページ 15,000円 3. 公開作業 1式 60,000円 小計 140,000円 消費税(10%) 14,000円 合計 154,000円 支払条件: 月末締め翌月末日までに銀行振込 備考: サーバー移転作業は含みません。追加修正は別途お見積りします。
- 宛名は会社宛だけなら「御中」、担当者名まで入れるなら「様」を使います。迷うときは 見積書の宛名は御中?様? を先に確認してください。
- 見積番号の付け方で止まる場合は 見積番号の付け方・連番ルール、件名で止まる場合は 件名の書き方 を見ると早いです。
- テンプレから作り始めたい場合は 見積書・請求書テンプレ を使い、その後でこのページの差し替えポイントを見直す順が安全です。
項目別の記入例:6つだけ見れば埋めやすい
| 項目 | 記入例 | 見直すポイント |
|---|---|---|
| 宛名 | 株式会社〇〇 御中 | 部署名や担当者名があるなら、誰に出す書類かが1行で分かる形にする。 |
| 件名 | オフィス什器搬入作業 お見積り | 「案件名だけ」「見積りだけ」で終わらず、対象作業が第三者に伝わるか確認する。 |
| 明細 | 搬入作業 1式 養生作業 1式 追加人員 2名 |
「一式」でまとめる場合も、何を含むか説明できる粒度を残す。詳しくは 明細の書き方 を参照。 |
| 税率・合計 | 小計 120,000円 消費税(10%) 12,000円 合計 132,000円 |
税込・税抜の見せ方を途中で変えない。インボイス前提も含めて確認するなら 請求書の書き方 も合わせて見る。 |
| 支払条件 | 検収後末締め翌月末日までに銀行振込 | 支払期日と支払方法を両方入れる。振込手数料負担まで必要なら明記する。 |
| 備考欄 | 夜間作業、追加搬入、階段作業は別途お見積りです。 | 対象外作業、追加費用条件、修正回数を短く残す。短文例は 備考欄の例文4つ が使えます。 |
公的サンプルは「欄の並び」と「提出先の確認項目」を見る
見積書の記入例を調べると、公的PDF、自治体の入札書式、民間サービスの見本が並びます。見るべきポイントは、文章の言い回しよりも「どの欄が並んでいるか」「提出先がどの項目を確認しているか」です。
- 厚生労働省の見積書参考例 は、発行日、発行番号、業務名、数量、単位、単価、金額、納入期限、支払方法まで一枚で確認できます。レイアウト確認に向いています。
- 弥生の見積書の書き方ガイド は、宛名、見積番号、有効期限、備考欄など、民間実務でよく使う欄を俯瞰しやすい見本です。
- 見積書をそのまま請求書代わりに使う運用なら、見積書の見本だけでは足りません。国税庁の適格請求書等の記載事項 も別で確認して、登録番号や税率別消費税額が必要かを切り分けてください。
つまり、公的サンプルは「この順で並べると伝わりやすい」という骨組みの確認に使い、文言と条件は自社案件に合わせて置き換えるのが安全です。法的な必須項目と提出先ルールを分けて見たい場合は 見積書に法的な必須項目はある? に戻ると整理しやすくなります。
PDFで送る前のチェック5点
- 宛名、担当者名、敬称が正式表記でそろっている。
- 件名と明細を見れば、第三者でも何の見積か説明できる。
- 小計、消費税額、合計、税率の前提が1つにそろっている。
- 有効期限、納期、支払条件、振込手数料負担、対象外作業が空欄のまま残っていない。
- PDF化後に改ページ崩れ、古い案件名、古い日付が残っていない。
書く順番ごと見直したいなら 見積書の書き方・作り方、見積から請求までの流れごと確認したいなら 見積から請求までの流れ6ステップ を続けて読むと、そのまま送付まで進めやすくなります。
よくある質問
見積書の記入例はそのまま使っていいですか?
欄の順番や骨組みは使えますが、宛名、件名、明細、税率、備考欄は毎回差し替える前提で見た方が安全です。特に対象外作業と追加費用条件は、案件ごとに変えないと後で請求金額の説明が難しくなります。
見積書の明細は「一式」だけでも大丈夫ですか?
完全にNGではありませんが、比較見積や再確認の場面で内容説明がしづらくなります。少なくとも、何を含む一式なのかは説明できる粒度を残しておく方が安全です。
見積書を請求書代わりにするなら何を足しますか?
登録番号や税率別消費税額など、適格請求書側の要件確認が必要です。見積書の記入例だけで済ませず、国税庁の適格請求書等の記載事項 を別で見てください。
見積書の備考欄には何を書けばいいですか?
有効期限だけでは伝わらない条件、追加費用が発生する条件、対象外作業、振込手数料負担などを書きます。例文だけ急ぐ場合は 見積書の備考欄の例文4つ をそのまま調整すると進めやすいです。

